自転車変速機系統とは?
自転車のシフトチェンジがうまくいかない時には変速機系統のメンテナンスが必要とされます。
この変速機系統とは、シフトチェンジを入力するためのレバーから、ワイヤー、ディレイラー、スプロケット、チェーン等をまとめて変速機系統と呼んでいます。
自転車の変速には、シフトワイヤーを緩めたり伸ばしたりする事でディレイラー(変速機)が稼働し、チェーンを強制的に他の段へ動かしてシフトチェンジをしています。
このシフトチェンジをするために、実に様々なパーツが必要となります。
これら一つ一つのパーツをメンテナンスし、シフトチェンジがスムーズに行えるように調整できるようになりましょう。
自転車の変速機の調整が必要なタイミング
変速機の調子がおかしいと感じたら、以下のいずれかの項目を確認してもし該当すれば調整が必要になります。
シフトチェンジがスムーズにできない
シフトチェンジのレバーを入れても変速しない、チェーンがギアの上に乗っかったままスプロケットにはまらない、変速してもすぐに戻ってしまう等が発生します。
ギアから音がする
ペダルを回していきながら変速機のレバーを入れた時に、何かに接触している音がないか、カラカラ音がするかどうか確認をしましょう。
勝手に変速してしまう
走行中にシフトチェンジのレバーを入れていないにもかかわらず、ギアが勝手に変更されていないか確認しましょう。
自転車変速機の調整が必要な頻度
購入から1ヶ月後
新品の自転車を購入してから約1ヶ月程度経過すると変速機のワイヤーが伸びてきます。これは初期伸びと呼ばれており、変速機のワイヤーはステンレスを用いていますが、販売前の何も負荷がかかってない状態から走行して何度も引っ張られることによって、最初は伸びが発生します。これは自然現象となるため、必ず購入後1ヶ月以内にワイヤーの調整が必要となります。
以降は1-2ヶ月に1回が目安
一度ワイヤーが伸びきると、それ以降はそれほど伸びることはありません。ですからワイヤーの伸び自体にはそこまで心配しなくていいものの、変速機系統はいくつものパーツで構成されていますので、これらの一つ一つのパーツのメンテナンスとして1-2ヶ月に1回は行った方がいいでしょう。
自転車変速機の調整に必要な作業
自転車の変速機系統における調整に必要な作業は以下になります。
- チェーンの洗浄
- スプロケットの洗浄
- リアディレイラーの調整
- ワイヤーの伸びをチェック
- チェーンリングの洗浄
- フロントディレイラーの調整
自転車変速機の調整に必要な工具
- プラスドライバー
- 六角レンチ
チェーンの洗浄
チェーンは摩耗品で、走行するほど伸びたり消耗していきます。シフトチェンジへの影響も大きいので適切なメンテナンスをして快適に、長期間使用できるようにしましょう。
一番簡単な方法はチェーンクリーナーを利用することです。このツールさえあれば本当に簡単にチェーンの洗浄が行えます。
チェーンクリーナーの使い方
チェーンクリーナーは特に難しい作業はなく、パーツをチェーンにはめて、ペダルを回せば、みるみる汚れが落ちていきます。
- 洗剤と水を1:1で混ぜたものをチェーンクリーナーの中に入れます。
- 所定の位置にセットをしてペダルを回します。
- 汚れがある程度落ちたら、今度は中身を水に入れ替えて、何回かすすぎます。
- すすぎ終わったら、乾いた布かウエスを準備して、しっかりと水を拭き取ります。
- チェーンのコマ1つ1つに注油を行います。
- 注油後に、もう一度ウエスを使って余分な油をふきとります。
チェーンには油が余分に残っていると汚れが付着してしまい、劣化を早めてしまいますので注意しましょう。
スプロケットの洗浄
リアホイールに取り付けられているシフトチェンジを行うためのパーツがスプロケットです。
非常に重要なパーツで、汚いとシフトチェンジに多大な影響を与えます。
なお、乾いた布かウエスを使って掃除をすればすぐに綺麗になります。
- リアホイールを取り外す
- ウエスか乾いた布を用意して、スプロケットの間に布を差し込みゴシゴシとこすります。
- リアホイールを取り付けます。
- チェーンに注油をして、ペダルを回しながらシフトチェンジを何回か行い、油をなじませます。
### チェーンリングの洗浄
チェーンリングとは前輪のシフトチェンジをするパーツです。チェーンリングもスプロケットと同様に、 汚れがあるとシフトチェンジへの影響がありますので洗浄を行います。
なおチェーンリングは外すことができないので、掃除がしにくいのですが、乾いた布やウエスを使って隙間にいれていきながら拭けば綺麗になります。
リアディレイラー(変速機)の調整
リアディレイラーの名称の紹介
各部の名称について覚えておきましょう。
- ワイヤーアジャスター
- トップアジャストボルト
- ローアジャストボルト
- シフトワイヤー固定ナット
ワイヤーの伸びをチェック
まずは全体を綺麗に拭いてから作業を行います。チェーンを一番トップギア(輪っかが小さい方)に移動させましょう。もしこの状態でワイヤーが緩いんでいたとしたら、張り直しをする必要があります。
もしローやトップギアに入らなかったら、アジャストボルトで調整をしてみましょう。
2速〜5速でギアが変速しにくい場合の調整方法
リアディレーラーに繋がっているワイヤーアジャスターを動かして調整を行います。特に工具は必要ありません。
2速から5速までのギア変更(大きい方から小さい方)か、5速から2速までのギア変更(小さい方から大きい方)のどちらのギア変速がやりにくいかによって対応方法が異なります。
なおもし調整後もうまく変速ができなかったり、ギアが入りにくい場合は微調整を行います。
5速から2速へのギアが変速しにくい場合
ワイヤーアジャスターを後ろからみて、反時計回りに(ホイール側に回転)1/2回転してみます。
調整が完了したら、ペダルを回しながら5速から2速までギア変速がスムーズにできるか確認をしましょう。
2速から5速へギアが変速しにくい場合の調整方法
2速から5速へギアが変更しにくい場合には、ワイヤーアジャスターを後ろからみて時計回りに(ホイールとは反対側)1/2回転してみます。
調整が完了したら、同じようにペダルを回しながら2速から5速まで変速を行なってギア変速がスムーズにできるか確認します。
調整後にシフトワイヤー固定ナットでワイヤーを固定する
調整が完了したら、シフトワイヤー固定ナットを締めてワイヤーを固定しましょう。
2速から1速の変速での調整方法
2速から1速の変速を調整する場合には上記の方法とは異なり、プラスドライバーを使ってリアディレーラー本体の付いているネジの下側のローアジャストボルトを回して調整をします。
2速から1速に変更しにくい場合の調整方法
ローアジャストボルトを反時計回りに1/2回転しましょう。
調整が完了したら、後輪をメンテナンススタンドにかけて、ペダルを回しながら2速から1速へ変速して、ギアが入るか確認してください。
なおこのボルトを操作するときは少しずつ回すようにしましょう。そうしないと、チェーンが1速を越えて外れてしまいます。
2速から1速に変速する際に、スポーク側にチェーンが落ちそうになる場合の調整方法
ローアジャストボルトを時計回りに1/2回転します。調整ができたら、後輪をメンテナンススタンドにかけて、ペダルを回しながら2速から1速に変速して確認します。
ボルト調整時に回しすぎないように注意をします。回しすぎると1速に入らなくなってしまいます。
5速から6速の変速での調整方法
5速から6速の変速を調整する場合には、プラスドライバーを使ってリアディレーラー本体の付いているネジの上側にあるトップアジャストボルトを回して調整をします。
5速から6速に変更しにくい場合の調整方法
トップアジャストボルトを反時計回りに1/2回転します。調整が完了したら後輪をメンテナンススタンドにかけてペダルを回しながら5速から6速へ正常にギアが入るか確認しましょう。
調整時に回しすぎないように注意をしましょう。6速を乗り越えてチェーンがはずれてしまう可能性があります。
5速から6速に変速する際に、外側へチェーンがおちそうなばあいの調整方法
トップアジャストボルトを時計回りに1/2回転します。調整が完了したら後輪をメンテナンススタンドにかけてペダルを回しながら5速から6速へギアが入るか確認します。
同じように調整時には回しすぎないように注意をします。6速に入らなくなってしまいます。
フロントディレイラー(変速機)の調整
フロントディレイラーの調整は難しいため、本来はショップへ持ち込んで調整してもらう方が望ましいです。ただ慣れてくれば出来ない訳ではないので、トライしてみましょう。
フロントディレイラーの名称
- ワイヤーアジャスター
- インナー調節ネジ
- アウター調節ネジ
フロントディレイラーの調整方法
- まずは、ウエス等を使って、全体を綺麗にふきます。
- フロントディレイラーのギアを一番内側に入れます。
- フロントディレイラーの羽とチェーンリングが平行か確認をします。
- フロントディレイラーを手でアウターまで動かしてチェーンリングの歯に引っかからないか確認します。
- アジャスターを締めて、ワイヤーをたるませます。
- リアのギアをローにして、インナー可動域ボルトを調整して、チェーンとフロントディレイラーの内側の羽との間隔が0.5mmになるように調整します。この間隔が広いとトップへ移動した時に戻ってきてしまいますので注意します。
- 再びワイヤーを張りながらセットして、今度はフロントをアウター、リアをトップに入れます。アウターに入らない場合は、ワイヤーの張りが弱いです。
- アウター側のチェーンガイドの位置を調整します。アウターネジを回してチェーンとの間隔を0.5mmになるように調整します。
- スムーズにシフトチェンジができれば調整完了です。
- 最後に、可動部にオイルを一滴ずつ垂らしておきましょう。
自転車変速機の調整方法まとめ
シフトチェンジの調子が悪いと、走行している時にストレスに感じやすくなります。そのためには普段からのメンテナンスが欠かせません。
できる限りチェーンの掃除を行い、ギアへの負担を下げる等してメンテナンスを心がけましょう。