ロードバイクのディスクブレーキ時代の到来
近年ワールドツアーレースでもディスクブレーキが解禁され、数々の勝利を量産しており、リムブレーキと遜色ないパフォーマンスを出したことでロードバイクにも本格的なディスクブレーキ時代がきつつあります。
最近のロードバイクのモデルもディスクブレーキを採用したものが数多く販売され、ディスクブレーキを搭載することが選択肢の一つとなっています。
3大コンポメーカーが対応
世界3大コンポメーカである、SHIMANO、CAMPAGNOLO、SRAMのいずれもが上級グレードから初級グレードまで幅広くディスクブレーキを開発しています。
SHIMANOのディスクブレーキ
SHIMANOでも近年、デュラエース、アルテグラ、105、シリーズ外の安価モデルまで全てのコンポに対応しており、2019年以降はディスクブレーキが普及していくことが間違いなくなってきています。
ディスクブレーキとは
そもそもディスクブレーキが流行ってきている背景を知るために、まずはそもそもディスクブレーキとはどんな性能を持っているのか改めて確認します。
ディスクブレーキとは、ホイールのハブ部分に取り付けるブレーキローターと呼ばれる金属製の円盤を挟み込んでブレーキを制動するものです。このディスクブレーキは、自動車やオートバイに元々使わレテいるブレーキシステムで、高い制動力が特徴です。
キャリパーブレーキとの違い
ロードバイクのブレーキは大きく分けて2種類のブレーキシステムが存在します。ディスクブレーキとキャリパーブレーキです。これまで主流とされてきたのがキャリパーブレーキです。キャリパーブレーキはブレーキシューを使って挟み込むことでブレーキをかけます。
ディスクブレーキの仕組みと構造
ディスクブレーキは油圧式と機械式の2種類
ディスクブレーキは大きく分けて2種類があります。
油圧式ディスクブレーキ
ブレーキレバーとブレーキをホースでつないでその中にオイルを通して使うのが油圧式のディスクブレーキです。
油圧式は指一本でも大きな制動力を生み出すことができるのが特徴です。日頃のメンテナンスは楽なのですが、専用のブレーキレバーとケーブルが必要になるので高価です。
機械式ディスクブレーキ
キャリパーブレーキのようにブレーキレバーとブレーキをワイヤーでつなぐタイプが機械式のディスクブレーキです。
油圧式と比べると制動力は劣るものの、今のパーツをそのまま流用できる点や、そもそもパーツが揃えやすいので安価に組むことができます。
油圧式と機械式どちらがいいか?
メンテナンスのことだけを考えれば機械式ディスクブレーキの方が圧倒的におススメですが、制動力を優先させたい場合は油圧式のディスクブレーキがいいでしょう。
メンテナンスのコストは、油圧式の方が高くなる傾向にあります。
ディスクブレーキのメリットデメリット
ディスクブレーキのメリット
全天候型で雨でも制動力が落ちない
リムブレーキの場合、雨だと30%近く制動力が落ちるのに対して、ディスクブレーキはほとんど変わらずにブレーキをかけることができます。どんな状況でも同じようにブレーキングができるので安全に走行ができます。
握力がいらない
指一本でも高い制動力を発揮することができるので、握力の弱い女性や、ライドの後半で握力が落ちてきてもブレーキ操作で疲れることがありません。
また入力が一定になるので、急激なブレーキングでロックする心配もありません。
さまざまな太さのタイヤに対応できる
リムブレーキのようにブレーキシューを当ててブレーキをする必要がないので、どんなに太いタイヤでも調整ができます。またリムを軽量化することも可能です。
見た目がカッコいい
ブレーキワイヤー等のケーブル類は内臓されるため、見た目がすっきりします。
加えて、目を引くのがブレーキローターです。見た目が非常にスタイリッシュになります。
汚れが目立たない
キャリパーブレーキの場合、ブレーキシューがこすれて、走るたびにフォーク部分が真っ黒になります。この汚れが全体に広がっていって洗浄が大変になることもしばしば。ディスクブレーキはそのような心配がないので汚れにくいといえます。
ディスクブレーキのデメリット
車体が重くなる
ディスクブレーキの最大のデメリットは、車体重量の増加です。ただ最近はメーカーも軽量化を進めており、キャリパーブレーキと比べても200g程度重くなるくらいですみます。
普段使いであれば、そこまで重量に関してシビアになる必要はないかと思うので、大きなデメリットではないかもしれません。
価格が高い
値段が手頃になってきてはいますが、キャリパーブレーキのモデルと比べるとまだまだ高価です。2019年以降は安価モデルも登場してくるようですのでそれに期待するしかないでしょう。
とはいえ、雨の日の危険なブレーキングで事故を起こしてしまう可能性を考えてブレーキは安全性の高いものにするのであれば、出し惜しみするべきではないかもしれませんね。
メンテナンスがシビア
ディスクブレーキは、キャリパーブレーキと比べるとセッティングがシビアで、メンテナンスに気を使う必要があります。
メンテナンスせずに利用したり、正しくセッティングしておかないと、バイオリンのようにキーキーと音を立ててブレーキが泣くようになります。
定期的にプロの自転車屋に診てもらう必要が出てくるかもしれません。
ディスクブレーキを自車に装着できる?
結論から言うと、ディスクブレーキ専用の設計があるため、新車を買う方が無難です。パーツを部分的に変えることで対応もできますが、フレームに負荷をかけることになるので危険です。
ただ以下のパーツをディスクブレーキ対応のものに変えれば対応はできます。
フォークとフロントホイールをディスクブレーキ対応のものに買い替え
無難なカスタム方法としては、フォークとフロントホイールを交換してフロントタイヤのみディスクブレーキに変更する方法です。
ただディスクブレーキ対応のフロントホイールが、自分のバイクで使用可能なフロントホイールであるかどうかは確認が必要になります。
ディスクブレーキのメンテナンス
濡れた場合はウエスで拭き取る
雨の日にもし走ることがあったら、ウエスで軽く全体を拭いてあげましょう。ディスクブレーキは汚れや水に弱く、メンテナンスを怠っているとブレーキの性能を下げてしまう可能性があります。
定期的に清掃する
基本的なブレーキの清掃と同じ手法を取れば問題ありません。キャリパーブレーキと一緒ですが、ブレーキローターとブレーキパッドに油分がつかないように注意が必要です。ブレーキが効かなくなり交換が必要になります。
- ホイール、ブレーキパッドを外す。
- ブレーキローター、ブレーキパッドを洗浄する
- ブレーキキャリパー内も清掃する
消耗品の交換をする
ディスクブレーキの場合、ブレーキパッドとブレーキローターが消耗品になります。
交換時期の目安は、それぞれ5,000kmと1万〜2万kmに1回程度です。
ブレーキパッドの場合はすり減ってくると音が鳴るようになりますので交換時期を知らせてくれます。
ブレーキローターはノギスで厚みを測ってチェックをする必要があります。
ショップでのメンテナンス
油圧式のディスクブレーキの場合、オイル交換が1-2年に1回必要になります。自分でも作業は可能なのですが、プロに任せた方がいいかもしれません。
また機械式の場合は、ブレーキの引きしろの調整があるので、これも同じくショップに持って行ってメンテナンスをしましょう。
ディスクブレーキの注意点
ブレーキローターの扱いには注意を
ブレーキローターは刃物並みに尖っているため、触れた部分が切れてしまう可能性があります。実際にプロの試合でも落車時にブレーキローターによって怪我をするといったケースがあります。できる限り直接触れないようにする等、ブレーキローターを扱う際には注意をしましょう。
縦置きの保管はしない方がいい
油圧式のディスクブレーキの場合、縦置きでの保管は適していません。オイルラインに空気が入ってしまうとブレーキの効きが下がってしまうのですが、縦に保管をしていると空気が入る可能性があります。
輪行時にはいくつか注意
もし輪行をする方は、ブレーキローターの保護を忘れないようにしましょう。ブレーキローターが歪んでしまうと走行不能になってしまいます。必ず輪行時にはローターカバー等で保護して運ぶようにしてください。
油圧式ディスクブレーキの場合だと、さらにブレーキローターを挟んでない状態でブレーキレバーを握ってしまうとずっとブレーキがかかった状態になり走行不能になります。
ブレーキキャリパーにスペーサーを挟み込んで輪行袋にいれましょう。
おすすめのディスクブレーキ搭載ロードバイク
NEXTYLE RNX-7021
TRINX TEMPO1.1
MERIDA SCULTURA DISC200
FUJI FEATHER CX+
SPECIALIZED DIVERGE MEN E5
SPECIALIZED DIVERGE MEN E5 DISC
Cannondale SYNAPSE DISC SE
トレック DOMANE ALR 4 DISC
Bianchi ARIA DISC
まとめ〜ディスクブレーキ
ディスクブレーキの仕組みやそのメリット・デメリットについて触れてきました。
ディスクブレーキは近年注目を浴びており、プロでも多くの人が使っているため今後益々普及していくことが考えられます。
今の自転車をディスクブレーキ対応するのは難しいですが、新しい自転車に変更する際にはディスクブレーキ搭載の自転車の購入を検討してみてもいいかもしれません。
そんな時はメンテナンス等に注意していきましょう。