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自転車用トルクレンチでメンテナンス!トルクレンチの選び方とおすすめ

自転車 トルクレンチ

トルクレンチとは

自転車 トルクレンチ

クロスバイクやロードバイクなどのスポーツバイクをメンテナンスする際に、チェーンや可動部へのクリーニングや注油のほか、各部のボルトの増し締めが欠かせません。走行中の自転車の振動が原因でボルトが緩んでしまうことが多く、増し締めといってボルトの締め付けを確認する作業が必要となります。
ただこの増し締め、実は適正締め付けトルクという設定があり、パーツによっては指定された力で締め付ける必要があります。特にスポーツバイクに採用されるカーボン素材の場合には注意が必要で、適正締め付けトルクよりも大きな力で締め付けてしまうと割れてしまって使い物にならなくなります。ただ適正締め付けトルクを手の感覚だけで把握するのは熟練の技術者でもないかぎり難しく、トルクレンチを使うことが必須となるわけです。

そのため自転車をメンテナンスする上で、トルクレンチは必須のツールとなるのです。

自転車のトルクレンチの役割

カーボンパーツを壊さないために

ロードバイクやクロスバイクにのフレームやパーツにカーボン素材が使われているものが多いですが、ボルトを閉める時に「強く締めれば大丈夫」と思っている方・・・気をつけてください。実はパーツ毎にトルク指定がされており強度が決まっているんです。またロードバイクやクロスバイクに設定されている締め付けトルクは5N・m~8N・m程度と、10N・mとかなり小さな数値です。ロードバイクやクロスバイクだけでなく一般的な自転車でも壊れる可能性があるので締めすぎには注意が必要です。

当たり前ですが、壊れることを恐れて締付けトルクが足りなければ、パーツが外れて大きな事故になりかねません。締めつけ過ぎればボルトがねじ切れたり、ボルトの頭が潰れる、さらにはパーツが壊れる可能性が高まります。そう、ボルトは適度に締め付けないといけないんです。

自転車用のトルクレンチでないと素人は難しい

またトルクですが手の感覚ではほとんどわかりません。実際に熟達した作業車でないと無理です。そしてトルクは使われているボルトの長さによって変わります。同じ力をかければいいというわけではないのが難しいところです。それだけに手の感覚だけでは締め付けは難しいのがお分かりいただけるでしょう。
特にカーボン素材ってかなり高いです。仮に壊してしまったらたまったもんじゃありません。ですからトルクレンチ1つでパーツを壊すことを避けると思えれば安く思えますね。

自転車のトルクレンチの種類

自転車 トルクレンチ種類

トルクレンチと言っても種類は様々で、用途や構造によって使い分けます。

自転車用トルクレンチ ①デジタル型

トルクレンチ デジタル型

上記画像のようなもので液晶画面にトルク値を表示してくれるタイプです。現在のトルク値を見ながら作業ができるので初心者の方でももっとも簡単に作業ができます。また設定したトルク値に達すると音と光で知らせてくれる機能もあります。設定トルクも簡単に変更したり、左右両方向の測定が可能で単位換算など機能が豊富です。機種によっては、データ転送機能や保存機能、合否判定機能など多機能なものもあります。

トルク表示は2パターンありトラックモードとピークモードがあります。

・トラックモード
現在のトルクをリアルタイムで表示。

・ピークモード
加えたトルクの最大値を表示。力を抜いても最大値は表示され続けます。どのくらいのトルクで締め付けたのかを確認することができます。

自転車用トルクレンチ②プレセット型

トルクレンチ プレセット型

デジタル表示はありませんが、あらかじめトルク値を設定しておくことで、その値に達っしたタイミングで「カチッ」という音と一緒に手に軽いショックが伝わるタイプです。トルク設定は機種が持つ設定範囲内で自在に設定/変更が可能です。誰でも使えますし、十分な実用性がありますので、一般的にはもっとも普及しているタイプです。

自転車用トルクレンチ③ダイヤル型

トルクレンチ ダイヤル型

アナログのダイヤルの目盛と針で、締め付けの変化と結果を表示するタイプです。ただデジタルやプレセット、単能型のように、あらかじめ設定したトルク値に達した時のアラート機能はありません。シンプルに締め付けの変化と結果のみを表示するだけです。ですので検査や・測定などの用途に用いられることが多いです。

自転車用トルクレンチ④単能型

トルクレンチ 単能型

特定の作業に対してあらかじめトルク値が設定されているタイプで、設定トルク値の変更ができません。また目盛もついてないので、設定したトルク値に達した時の「カチッ」という音と手に軽いショックが伝わった時に判断します。ですので、商品の多くは例えば自動車のホイールナット専用、空調配管フレアナット専用といったように専用機材も存在します。

自転車用トルクレンチ⑤プレート型

トルクレンチ プレート型

ダイヤル型と同じようにアナログの目盛りと針だけでトルク値を確認するタイプです。あらかじめ設定したトルクに達した際のお知らせ機能はありません。シンプルな構造でトルク値を計るだけのものなので検査に用いられることが多いです。ダイヤル型と比べ磨耗部品が少ないので比較的長寿命です。

自転車用トルクレンチ⑥外付け型

ラチェットハンドル、スピンナハンドルのような手動で行うハンドル類と、ソケットの間に取り付けて使用する外付けタイプです。デジタル型と一緒で液晶画面を持っているのでトルク値をデジタル表示できます。また同じように設定したトルクに近づくと、光や音で知らせる機能を持っています。設定トルクは簡単に変更することができます。

覚えておきたいトルクレンチの単位

自転車でボルトを使用しているパーツ付近には大抵何らかの刻印がされています。自転車メーカーによって表記方法は異なりますが、そこにトルク値が記載されています。なお最もよく見かける単位がN.mという単位です。

N.m(ニュートンメートル)とは?

1N.m(ニュートンメートル)
ある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント。         出典:wikipedia

例えばMAX 9 N.mと記載されていた場合、9ニュートンメートル以上では締め付けないように、ということです。それ以上の強さで締め付けを行った場合はバーツの破損の危険性が高まります。
ロードバイクやクロスバイクに使われる、カーボン製のパーツやフレームには、一般車に多いアルミフレームと比べてよりシビアに数字を意識する必要があります。また、5N.m-7N.m のような範囲で指定されている場合は、指定された間での数値で締め上げれば問題ありません。

ロードバイクのトルク値一覧

以下ロードバイクで扱うパーツのトルク値の一覧です。パーツメーカーによって少しずつ異なります。

コンポのトルク一覧(単位:Nm)
シマノ カンパ スラム
ブレーキレバー固定ボルト 6~8 10 6~8
ブレーキケーブル固定ボルト 6~8 5 6~8
ブレーキ固定ナット 8~10 10 8~10
ブレーキシュー固定ボルト 5~7 8 5~7
リアディレイラー固定ボルト 8~10 10~12 5~7
リアシフトケーブル固定ボルト 6~7 5 5~7
フロントディレイラーバンド止め 5~7 5 4~5
フロントディレイラー直付け 5~7 7 5~7
フロントシフトケーブル固定ボルト 6~7 5 5
BBカップ 35~50 35 34~41
クランク固定ボルト 12~14 42(パワートルク) 48~54
スプロケットロックリング 30~50 40 40
ハブロックナット 15~17 15
ペダルシャフト 35~55 40 47~54
ハンガー下ケーブルリードボルト 3~4 3~4
ハンガー下ジャンクションB固定ボルト 1.5~2

自転車整備向けのトルクレンチの選び方

自転車トルクレンチ 選び方

トルクレンチ選び方①最低トルク値で選ぶ

車や他の機械など60N.mのトルクが必要な中、それに比べてロードバイクやクロスバイクなどの自転車は20N.m程度のトルクと、むしろ低いトルクの方を多用します。ですので最低トルク値をベースに選ぶようにしましょう。またペダルなどには逆ネジといって通常とは反対方向に回すネジが使われており、両方向に締め付けが可能なトルクレンチを選べば1本でまとめることができます。

トルクレンチ選び方②最大トルク値もチェック

トルクレンチの最大トルク値の70~80%辺りに多用するトルク値がくるようにトルクレンチを購入するといいでしょう。そうすると無理なく使えるので最も長期で利用することができます。大体が0〜9N.m、10〜19N.m、20〜49N.mの範囲で括られることが多いのでこのあたりのものを購入すればロードバイクには十分です。

トルクレンチ選び方③先端工具を選べるもので便利に使う

最近のトルクレンチはソケットを使用するタイプが多くなっています。ソケットタイプでは入らない場合はモンキータイプやスパナタイプを使うと言ったくらい、ほとんどのケースで利用できます。
なおソケットの差込口のサイズには、6.35Sq・9.5Sq・12.7Sq・19.0Sq・25.4Sqとなっており、お手持ちのソケットがある場合には、サイズが合うかを確認しましょう。

また一本で様々な用途に対応できる、自由に先端部を差し替えることのできる差換(ヘッド交換)タイプの機種もあります。差替えヘッドはスパナやメガネ、六角、ラチェットなどがあり便利に使えるでしょう。

トルクレンチ使い方と注意点

自転車 トルクレンチ 使い方

トルクレンチ使い方①計測後は最低値まで下げる

あらかじめトルク値を設定できるトルクレンチの場合、使用した時のまま保管するのはNGです。そのトルクレンチのトルク調整範囲の中で最低の値に設定した上で保管するようにします。これは構造上の問題で、内部のスプリングでトルクを計測するのですが、戻さないと負荷がかかった状態でバネにクセがついてしまい正確にトルクが計測できなくなります。もちろんツールの寿命も縮めることにつながります。

トルクレンチ使い方②1回で締め付ける

プレセット型のトルクレンチは、設定したトルク値に達すると「カチッ」と知らせてくれます。その時点で締め付け作業を完了させるようにしましょう。念のためもう一度締めておこうとおもって2回目をやってはいけません。せっかくプレセットしているのですから、それを信じて作業を終えるようにしてください。

トルクレンチ使い方③トルクレンチは締め付けのみに使う

トルクレンチは締め付け作業専用のツールです。中には両方に対応したトルクレンチもありますが、それに関しても締め付ける作業の為に使います。緩め作業に使った場合、トルク測定の精度を大幅に低下させることにつながってしまいます。トルクレンチでの緩め作業は避けるようにしましょう。

トルクレンチ使い方④トルクレンチの締め付け方

これは通常のネジ締めなどでも気をつける必要がありますが、もし仮にボルトが隣接している場合、対角に均等に締め付ける必要があります。そうしないとトルクを適正値に設定していたとしても均等に締め付けることができずパーツの破損につながります。1個ずつを最大値まで締め付けるのではなく、徐々に締め上げていくようにしましょう。

トルクレンチ使い方⑤トルクレンチは計測器として利用する

トルクレンチは六角棒レンチなどとは違って、最終的な締め付けとトルク確認をするために使います。ですから途中までは六角レンチを使って締め上げた上で、最後に締め付けとトルク設定値まで締め上げるようにします。そうすることでトルクレンチへの余計な負荷が減り、長期間使うことができます。

デジタルトルクレンチが圧倒的におすすめ

プレセット型やダイヤル型も設定値に達すれば「カチッ」と知らせてくれるので便利なのですが、構造上スプリングやカムといった機械的な機構でトルクを測定するのに対し、デジタル型はトルクレンチに掛かる力をセンサーで計測するので締め付けトルクを数字で見ることができます。数字が読み取れるのは締め付けている人からしても安心ですし、電子的に処理ができるのでより正確性に長けています。

おすすめの自転車向けトルクレンチメーカー

トルクレンチ メーカー①東日製作所

昭和24年から続く日本企業でトルク機器を主な事業としています。DIY向けのアイテムから2800Nmのとくるレンチまでを扱う幅広いラインナップが特徴。

トルクレンチ メーカー②KTC

同じく昭和25年から続く企業で、トルクレンチや配管ツール、収納具など1万点以上ものツールを扱うメーカー。デジタル表示と高精度トルクコントロール機能を備えた「デジラチェ」やそれらの作業履歴を自動的に記録してPCに転送するツールなど高性能なツールを扱います。

トルクレンチ メーカー③TONE

ホームセンターでもよく見かけるツールメーカー。会社設立は1925年とかなり古い会社です。ソケットレンチやトルクレンチは好評のようで自動車やオートバイの作業車からは認知度の高いメーカー。最近はホームセンターを通じて一般ユーザー向けにハンドツールの開発に力をいれています。

トルクレンチ メーカー④トピーク

自転車関連のツールメーカーと言えばトピークと言われるくらい認知度の高いメーカーです。空気入れやカゴ、ライトやスタンドと、かなり幅広い自転車関連のツールを販売しています。トルクレンチも幅広く用意。

おすすめの自転車向けトルクレンチ

おすすめトルクレンチ①SK11 デジタルトルクレンチ SDT3-060

SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060

おすすめトルクレンチ②BIKE HAND トルクレンチセット YC-617-2S

BIKE HAND(バイクハンド) トルクレンチセット YC-617-2S

おすすめトルクレンチ③KTC デジラチェ GEK030-C3A

KTC デジラチェ GEK030-C3A

おすすめトルクレンチ④TOPEAKコンボトルク レンチ&ビット セット TOL23500

TOPEAK(トピーク) コンボトルク レンチ&ビット セット TOL23500

おすすめトルクレンチ⑥TOPEAK D-Tprq Wrench DX

定期的にトルクレンチ で整備をして精度の確認をしよう

トルクレンチはどんなに正しい使い方をしていても残念ながら精度は徐々に低下していきます。そんなときはトルクチェッカーというツールを使って定期的に点検を行うといいでしょう。精度が低下してきた場合はメーカーでの修理や転換が必要となります。ですから1年に1回くらいは点検をするように心がけるといいかもしれません。

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